岡田晴恵教授がPCR検査を推奨 東大小玉龍彦教授、山中伸弥京大教授も

岡田晴恵教授が最近PCR検査をするように推奨しているようです。これについて、反対意見もあったり、いろいろな意見があるようです。岡田晴恵教授の論文疑惑もあるようですが、そのあたりはまた別の記事で取り上げる予定です。今回はPCR検査についてです。

私も植物のウイルス研究で博士号を取ったし、PCRや抗体検査は20年間位日常的に使っていたので、このあたりは専門と言ってもいいと思います。

4月頃には新型コロナウイルスについてPCR検査をしても無駄、むしろ弊害が大きいからやらない方がいい、という論理が広まっていました。

これに対し、ノーベル賞を取った京都大学の山中伸弥教授も4月初めにはPCR検査をやるべき、とホームページに書いていましたが、数日で削除したそうです。

これはおそらく官邸や厚労省の意向ではないかと思います。彼らはPCRをしないことで感染者数を少なく見せ、東京オリンピックを開催しようと考えていたフシがあるからです。

なので、感染者数が少ない間は検査をしても擬陽性、偽陰性が出るのでやらない方がいい、という説を広げていました。この説が正しいとしたら、今は感染者素が多くなっているので、PCR検査をすべき、というのが自然でしょう。

しかしながら、世界のどの国を見ても、感染者数が少ないからPCR検査をやらない方がいい、という国はなく、むしろ全力でPCR検査をしています。日本の説は明らかにおかしい、と私はずっと思っていてフェイスブックでも一貫してPCR検査をやるべき、と発信してきました。

それはともかく、岡田晴恵教授がPCR検査をやるべき、というのはウイルス学博士の私としては賛成です。山中伸弥教授も賛成すると思います。

東大の児玉龍彦教授もPCR推進派ですが、彼は東大の開発した装置を中国で作って、それを輸入して検査すべき、という立場のようですから、自分たちが特許使用料で儲かるから、という面もあるのかも知れません。それを差し引いてもPCR検査をやるべき、と言っていると思いますが。

PCRについて誤解があるのは、陽性に関して、30%擬陽性が出る、と考えている人もいるようですが、それはあり得ません。PCR検査の最低の正確性は85%以上です。

さらに、今回の検査は、2組のプライマー、つまり、1回PCRやって、さらにもう1回別のプライマーでPCRをやるので、もし、90%の正確性としたら、擬陽性の出る確率は、0.1X0.1=0.01 つまり、1%しか擬陽性が出ないことになります。99%の正確性、というわけです。

30%くらい出るのは偽陰性の場合です。偽陰性というのは、ウイルスに感染しているのに、陰性になる、ということです。これは、新型コロナウイルスcovid-19が感染しても、ウイルスがあまり増殖していない(少ない)初期の段階ではPCRでは検出できない、ということです。

これは他のマイコプラズマ肺炎等でも同じことです。感染初期には菌の濃度が低いので、検査をしても陽性になりません。その後菌がある程度増えて初めて検出できるようになります。

マイコプラズマ肺炎の場合、免疫系の検査キットを使うともっとひどい間違いが出ます。イムノカードという手法では、なんと、正確性が1%だったというデータまであります。これだと、判定の逆をすれば99%当たるわけで、もはやギャグレベルですね(笑

つまり、免疫系の検査キットでは70%どころか、50%以下、最悪1%しか当たらないキットも現実にある、ということです。それに比べて正確性90%以上が普通のPCR検査は最も正確性の高い検査です。

いずれにしても、偽陰性は他のどんな検査方法を使っても出ます。その中でもPCRが最も敏感で正確性も高い検査方法です。これは、臨床検査をやっている人であれば、誰でも知っている常識です。

それに、PCRのみで判定することはまずなく、その他の症状との組み合わせで判定しますから、陽性の場合の正確性は99%くらい、少なく見積もっても95%程度と思われます。陰性なのに陽性に誤判定されてえらい目にあった、という報道は聞いたことがありません。

偽陰性の議論とごっちゃにしている人が多いのではないかと推測します。

それから、他のウイルスも検出するおそれがある、というのは理論上はあり得ますが、これは、他のウイルスが非常に高濃度で存在する場合と思われます。例えば、インフルエンザウイルスが非常に多くいれば、PCRのプライマーが間違ってそこにくっついて増える、という可能性はゼロではありません。そういうケースも稀にあり得る、という注意書きを拡大解釈して、PCRはやらない方がいい、と言っている人もいるようですが、全くの間違いです。

しかも、新型コロナウイルスと他のウイルスが一緒に感染するケースは稀でしょうし、他のウイルスが増えると言っても、同じ組織で非常に高濃度にいた場合でしょうから、ほとんどの場合起こりえないレベルの話で、単なる理論的な交叉反応(cross react)みたいなものでしょう。あくまでの例外的にあり得る、ということだと思います。

ですから、岡田晴恵教授のいうようにPCR検査をやるべき、というのは正しい、と私は思います。iPS細胞でノーベル賞を取った山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長や、東大先端研の児玉龍彦教授もPCRをやるべき、と言っています。

PCR検査をやる弊害はないと思います。あっても、解決可能です。

むしろ、PCR検査をしないでスーパースプレッダーを野放しにして感染し放題にする方が、ウイルスが蔓延し、さらに、変異も増えるでしょうから、問題です。PCR検査して、感染者は隔離するのがウイルス対策の基本です。

ウイルスを殺す薬が無い以上、隔離以外の有効な方法はありません。そして、そのためにもウイルス感染者を見つけるPCR検査を増やす必要があります。今の状態でPCR検査をやらない方がいい、という理由は見当たりません。