悪魔を出し抜け(ナポレオン・ヒル)と引き寄せの法則

最近、ナポレオン・ヒル博士の「悪魔を出し抜け」という本を読んでいます。だいぶ前に買ってはいたのですが、最初の頃、少し読んであまり読む気がしなくなり、放って置いた本です。

しかし、書店で文庫版が出ているのを見て、再度見直してみるとかなり参考になることが書かれていました。特に、悪魔が人間を堕落させるのには、ヒプノティック・サイクルというのが重要な役割を果たしているようです。

ヒプノティック・サイクルというのは、催眠サイクルということで、ルーチンに無意識にしてしまう行動サイクルを言います。つまり無意識に日常的にやってしまう習慣です。このヒプノティック・サイクルにより習慣が形成され、成功習慣を実行する人もいれば、いつも失敗する習慣的な行動を取る人もいます。

悪魔としては、何も考えずに惰性的創造をするような人間を増やしたいそうです。そういう人は堕落させやすいですから。

エスター・ヒックス, ジェリー・ヒックスの「引き寄せの法則」には、惰性的創造と、意図的創造の話が書いてあります。これは、引き寄せによる創造には意図的創造と惰性的創造があり、意図的創造をしなければ惰性的創造になって夢実現や目標達成ができない、という話ですが、それに似たような話がナポレオン・ヒル博士の「悪魔を出し抜け」には書かれていました。

今回の衆議院選挙では、立憲民主党が躍進しましたが、それでも50議席程度で自民党の290議席には遠く及びませんでした。

このようなマクロな選挙結果も、大衆の惰性的創造によるものと考えられます。もっと主体的にどういう日本を創っていく、という主体的な態度であれば、自民党の大勝を許すこともなかったのでは、と思います。

「悪魔を出し抜け」には、流されないためには、明確な目標を持つべき、ということがかなりのスペースを取って書かれていました。逆に言えば、悪魔のささやきに流されて惰性的創造をしないようにするためには、明確な目標を持つだけでよい、とさえ言える位に重要なことだそうです。

つまり、流されると、他人や社会全体の思考(人類の共通的無意識)が自分の未来を創造してしまい、惰性的に未来を決めてしまいます。これでは、夢も実現できないし、目標も達成できません。

しかし、明確な目標を持てば、周りの意識に流されずに、主体的に目標に向かって行動を取れますから、他人の影響や、社会通念の影響をあまり受けずに自分の思い通りの未来に向かって進んで行けます。

明確な目標を持たなければ、環境に流されて、あっちにふらり、こっちにふらりと方向性を見失い、思い通りの人生を歩むことが出来ません。他人のいうことを聞いたり、マスコミのいうとおりに踊らされたりして、流される人生になってしまいます。

しかし、明確な目標を持つだけで、流されることを防ぎ、理想とする未来を創造できるのです。明確な目標を持つことだけを意識すればよいそうです。ただ、その目標は燃えるような動機があった方がよいのはもちろんですが。

自分の人生の明確な目標を持ち、常にそれを意識した行動をしたいものです。

例えば、スポーツ選手とかなら、いつの大会で優勝、というのをいつも意識して練習しているはずです。

会社員の場合は、上司から指示されるので、いつ最高の成果を出せるかは予定できない場合もありますが、少なくとも、与えられた仕事に対して明確な目標を持つことは可能なはずです。例えば、何歳で課長になる、何歳で結婚、何歳で部長、何歳で役員、何歳で社長・・・等。

自営業の場合でも、どういう風に自分の仕事を発展させていくか、明確な目標を立てることは可能なはずです。何年に社員何人、売上げいくら、などというように。

新たに起業した企業が、10年後には5%しか生き残らない、というのも、この明確な目標を持っていないからではないかと思います。どのような企業になるか、というビジョンを持っていない可能性があります。

これは、スタンフォードだか、ハーバードだかの卒業生の調査で、明確な目標を持ってそれを紙に書いていた3%の卒業生の資産総額が、残りの97%の資産総額より多かったという説とも大体一致します。

ですから、惰性的に生き、環境に流されて生きる(惰性的創造)状態から、自分で未来を主体的に創り出す意図的創造状態に変えるには、まずは、明確な目標を持ち、常に自分の行動がこの明確な目標を達成するための行動であるかどうか、と自分に問いかけることだと思います。