実質賃金が下がり続ける日本と画期的発明、イノベーション

昔は、すき焼きが思い切り食べたい、という動機でダイエーを創業した中内巧氏のように、すき焼きを食べることは、おそらく年に数回のものすごい贅沢だったのでしょう。

でも、今では、吉野家や松屋等のチェーン店や、普通の定食屋に行っても普通にすき焼きが600円~1000円も出せば食べられます。

つまり、昔に比べて、すごい贅沢が普通にできる生活水準になっています。

しかしながら、日本の実質賃金は、1996年に比べ、約90%程度まで下がっています。日本以外の国は実質賃金が115~140%位に上昇していますが、日本だけが実質賃金が減少しているのです。
(http://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2018/180221_02.pdf)

実感として、景気が良い、と感じているのは大企業の社員の一部ではないかと思われます。日本経済はバブル崩壊以降低迷している印象を持っている人が多いと思われます。これは非常に奇妙なことです。というのは、日銀がお金を刷って増やしているので本来インフレになって景気が良くなり、給与も上がらなければ理論上おかしいです。

実質賃金の減少は、派遣社員が増えたことにも関係していると思いますが、それだけではないと思います。

ペイパルマフィアのドン、ピーター・ティールは、米国は1960年台までは非常に好調で、このままいけば週休3日、4日になる、というような状況だったが、その後イノベーションがでなくなったので、それまでの伸びがなくなった、と言っています。

つまり、蒸気機関のような画期的な発明が出たら、それによって、景気がよくなるのですが、そういう世の中を変える発明が出ていないので、経済的に低迷するようになった、という説です。

確かに、1970年以降、画期的な発明といえば、インターネット関連がほとんどで、工業的な生産性を飛躍させるような発明はあまり出ていないのかも知れません。

例えば、エネルギーで画期的な発明が出れば、それを国家が運営して、その利益を国民に配分することも可能なはずです。産油国のように。そうなれば、日本国民も税金ゼロ、むしろ国から給付金が出て、仕事をしなくても生活できる、という夢のような生活が実現するかも知れません。

こうした富を生み出す発明ができれば、人類全体が、生活のためにお金を稼ぐために働く必要がなくなり、政府から一定額の報酬を得て好きなことをやって暮らせるようになる可能性もあり得ます。

実際、工場では今は1~数人のオペレーターがいれば、コンピュータの画面を見ているだけで管理できます。昔のように何十人、何百人の工員は必要なくなっています。だとしたら、本来、オペレーターの給与は数十倍、数百倍になってもおかしくないですが、実際には、賃金は減り続けている、という不思議な現象が起きています。

つまり、イノベーションをして会社に莫大な利益をもたらしても、社員1人1人の給料が爆発的に増えることがない、というのが日本の人事制度です。大発明をして2階級特進しても、給与の増加は5万円程度、年収でも1000万円程度ではないかと思います。

それがいやであれば、ベンチャー企業を興して世の中を変えるような発明をして、株式公開すれば、数十億、数百億円、数千億円、数兆円もの上場益を得ることも可能です。米国ではそういうベンチャー起業家が世界を変えてきました。それにより、新たな雇用が生み出されています。GoogleやFacebookでも30万人程度の雇用を生み出しています。これはトヨタ自動車関連の雇用者数と同じ位です。それが、創業20-30年以内の企業が生み出しているのです。

そういった画期的な発明をして世の中を変えていく起業家が日本からもどんどん出てくるようになれば、雇用も増え、日本の実質賃金も伸びていくのではないでしょうか?

つまり、既存の産業の効率化や改良ではなく、全く新しい産業を起こし、世の中を変えていくことが、経済的に低迷している日本を復興させる方法と思います。

発明家、イノベーターがどんどん増えていくことを期待しています。私もそのような活動をしていくつもりです。