希望の党の失速と戦略

今回の衆議院の総選挙は与党が300議席をうかがう状態で、期待された希望の党は伸び悩むというよりも、東京で全敗もありうる、とまで言われています。実際、小池都知事の側近の若狭勝しまでが落選し、選挙前の議席数を減らす結果に終わりました。

昨年は小池旋風を巻き起こした小池ゆりこ党首ですが、今回は明らかな戦略ミスでした。

というよりも、戦略そのものがみえない、もしかしたら戦略も何も無かったのかも知れません。

それはビジョンがなかったからでしょう。

企業経営の場合、まず企業理念があり、その理念に基づくビジョンがあり、そこから全社経営戦略、各事業の経営戦略を作ります。

小池さんの希望の党は、企業理念はあったかも知れませんが、それに基づくビジョンや全党の経営戦略が欠けていたのではないかと思います。

これは最終目標が明確でない、ということでもあります。小池百合子都知事が本当に最終的に何をやりたいのかが見えないのは、やはり、準備不足だったと言えるでしょう。

おそらく来年の選挙を想定していたために今回準備が間に合わず大敗を喫したということと思います。

そういう意味では安倍総理の作戦勝ちとも言えます。

前原民進党党首が野党の大同団結を訴えて政権の受け皿を作ろうとしたのに、民進党全員を受け入れる気はさらさらない、と言ったことで、民進党が分裂してしまったのも大敗の原因でしょう。

ここは、大局的に見て、全員を受け入れ、さらに他の党とも合併して最大の勢力を集めるべきではなかったかと思います。

その全体戦略が失敗したために、希望の党は失速し、厳しい状況になっています。

これらは十分な準備がない状態で抜き打ち的に解散総選挙が行われたためです。

議員であれば、常在戦場、いつ選挙があっても戦えるように準備しておくべきです。小池ゆりこ党首はおそらく来年の解散総選挙を考えて準備していたものと思われます。そのため資金が十分でなく、民進党の90億円がのどから手が出るほど欲しかった、とも言われています。

議員も、自分の最終的なビジョンを持ち、いつでもそのために全てを捨てられる覚悟が必要と思います。

今回は前原議員が勝馬に乗るためになりふり構わず希望の党と合併する道を選び、枝野元幹事長らを追い出す形になってしまいました。これも全く理解しがたいやり方でした。

石原慎太郎氏が、今回の選挙は関ケ原のようなものだ。裏切り、背信、敵陣営への寝返りなどなんでもありだ、と非難し、唯一立憲民主党の枝野氏を持ち上げていました。

現実にも立憲民主党のみ野党では伸びているようです。

これらを見ていると、政治家にもビジョンが必要であることがわかります。

明確なビジョンを持ち、それを実現するためにあらゆる努力をする政治家であれば自分の夢を実現できると思います。そのビジョンのためにあらゆる苦労と耐え忍べますから。

かつて竹下登元総理は初当選の頃から「10年経ったら竹下さん」という歌を作って総理になることを目指していました。そして、安倍晋太郎、宮沢喜一の2人をおいて、中曽根裁定で総理に選ばれました。

竹下登元総理は総理になるために何十年もの間努力を重ねてきました。

しかし、今回の小池ゆり子党首はおそらく総理になる、とは本気では考えていなかった可能性があります。総理になる、と決めていたとしたら、もっと周到に準備をし、民進党と合流するかどうかについても戦略的に決めることができたでしょう。

今回の選挙が全てではないので、小池ゆり子党首が本気で総理を目指して動けば来年以降新たな展開もあり得るように思います。

夢実現、目標達成の根本は政治も日常生活も同じです。潜在意識を活用して成功したいものです。