ある多数の講師が話すセミナーに参加したら、学年ビリから慶応大学に合格したビリギャルの小林さやかさんも講演者の1人で、直接話を聞くことができました。
私自身は、ビリから東京大学に入ったので、ビリから慶応に入っても何も大した事ない、オレの方が上だ、と心の底では思っていて、どんな内容を話すんだろう?と軽い興味で聞いていました。でも、話を聞いてとても暖かい気持ちになれたので良かったです。
彼女は、誰も自分を知らない学校に行ってキャラを変えたいという目的で中学受験をしたそうです。普通の親(教育ママ、パパ)は、いい学校→いい大学→いい会社→いい人生のために、勉強していい中学、高校に入りなさい、というものですが、彼女の場合は、キャラを変えるために中学受験をした、という時点でちょっと変わっていますね。それというのも、小学校でいじめにあっていたからではないかと思います。
また、お父さんは息子さんを野球選手にするのに夢中だったようで、いわゆる学歴主義、東大至上主義の家庭ではなかったようです。プロ野球選手を目指させていたという点では、教育パパというか、スパルタパパといえるかも知れません。お父さんは、さやかさんや妹はほったらかしで、長男の野球での成功に全力をかけていたようです。お父さんは事業(運送業?)をやっていたようです。つまり、自営業、経営者ですね。なので、なおさら頑固だったのかも知れません。
小林さやかさんさんは中学受験時は必死で勉強した、と言っていましたから、中学入学時はある程度の学力はあったと思います。
一説には愛知淑徳学園ではないかと噂されていますが、真偽のほどは分かりません。もし、この噂が正しいとすれば、愛知県でトップクラスの女子校(女子部)ですから、言ってみれば、灘高のビリが慶応に入ったようなものなのかも知れません。それなら慶応に受かっても普通ですね。しかも愛知県で一番学費が高い学校のようです。
ただ、小林さやかさんの場合は、中学受験はキャラ変が目的だったので、中学に入ったら全然勉強しなくなり、全校でもビリになったそうです。でも彼女は全く気にならなかったそうです。いい成績を取ることが目的ではなく、エスカレータで大学まで行ける学校でしたから。
ところが、その後、中3でタバコを持っていることを大親友にチクられ、停学処分を受けてしまいます。
その後、いろいろあって、母が弟のためにもらってきた個別指導塾のパンフレットを弟がいらない、というので、小林さやかさんの方に回ってきて、一度話を聞くだけならいいよ、とその塾に行ったのが坪田信貴先生との出会いになったそうです。
最初は東大はどう思う?と聞かれて、小林さやかさんは、東大はイケメンがいなさそうだからいや、と断りました。じゃあ、慶応大学はどう?と坪田信貴先生に聞かれ、当時桜井翔ともう1人ジャニーズのタレントが慶応に行っていたこともあり、慶応ならいいよ、と慶応に行くことにしました。大学に行く動機なんてそんなものなのかも知れませんね。ジャニーズがいるから慶応大学に入りたい、というのも立派な志望動機でしょう。
それを父親に話すと、お前が慶応に入れるわけない、塾費は金をドブに捨てるようなものだから出さない、というので、母のあーちゃんが苦労して工面したようです。とはいえ、私立中学に入れる位ですから、それなりにお金はある一族だろうと思います。
それでも個別指導塾の塾費100万円はお母さんにとっては重かったと思います。その重みを忘れるなよ、と坪田先生は小林さやかさんに諭します。
ビリギャル小林さやかさんは、そういうお父さんにムカついていて、絶対慶応大学に受かってお父さん(くそジジイ、とさやかさんは呼んでいたそうですが)を土下座させてやる、という憎しみのエネルギーで頑張ったそうです。
彼女は憎しみのエネルギーを使うと一番頑張れる、と言っていました。一番強い感情だから、だそうです。そのエネルギーを使って1日15時間猛勉強したそうです。
憎しみや恨みなどの負のエネルギーはうまく使うととんでもないパワーを発揮することがあります。さやかさんの場合も、親に対する反発心で猛勉強するのが合っていたのでしょう。
慶応に入って桜井翔くんに会える、と思うとワクワクした、ということも言っていたので、慶応大学に入って桜井翔に逢えるというワクワクも猛勉強を可能にした要素でしょう。
もっとも、こうしたメンタル面に加え、6割正解できるレベルに戻って始める、という坪田先生のやり方もよかったようです。さやかさんは、小学校4年生のドリルから始め、小4のドリルが2週間で終わったら、次に小5、小6・・・とだんだんとレベルを上げていったそうです。だんだん難しくなりますが、小5も2週間で終えるように頑張ったようです。
ビリギャルがいつから受験勉強を開始したか、ですが、高校2年の夏に坪田先生の塾に行ったので、その頃から勉強を始めたようです。なので、勉強期間としては、1年半以下でしょう。1日の勉強時間としては、1日15時間勉強することもあったそうです。
1日15時間勉強すると、残りは9時間。睡眠を6時間としたら、残りは3時間。1日18時間勉強したら、この3時間も無くなるので厳しいですが、1日3時間余裕があれば、一応息抜きの時間も取れるように思います。
東大首席の山口真由弁護士は、1日19時間半勉強して、幻聴が聞こえた、と書いていましたから、そのくらいやるとちょっと精神的に危ない状態になりそうですが、1日15時間の勉強なら、普通の人間がぎりぎり可能なラインかと思います。人によっては1日12時間以上勉強できない、という人もいるでしょうけど。
正しい猛勉強の甲斐あって小林さやかさんは慶応大学に合格します。やはり、ビリから慶応大学に合格するには、1日15時間程度の勉強は必要なのでしょう。他の例でも、高校を3日で辞めて、大検合格から1年の勉強で早稲田大学に合格した与沢翼も1日18時間の猛勉強を1年やって早稲田に合格したそうですから。
逆にいえば、1日15~18時間、必死で猛勉強を集中してできれば、劣等生でも早稲田や慶応大学に入れるということでしょう。さらに頑張れば、東京大学にも入れるということではないかと私は思います。
東京大学に入るには3000時間の勉強時間が必要と言われています。1日15時間勉強すれば、200日、つまり約半年で東大合格レベルになれます。もちろん、その勉強を始めた時の状態や才能にもよって若干変動しますが、天才レベルなら1500時間、鈍才でも3500~4000時間もやれば東京大学にも合格できると思います。
とはいえ、1日15時間とか18時間とか全力で勉強に集中できる人は非常に少ないと思われます。特に身につく効率のいい猛勉強を1日15時間するのは至難のワザと思います。ですから、もし、それができれば、大逆転合格も充分可能になるでしょう。
この理論と、小林さやかさんのメッセージを合わせると、中学、高校と、遊びまわって、自分の好きなように青春を思いっきり楽しんでも、高校2年生の夏位から頑張れば、慶応大学にも現役で合格できる、ということだと思います。つまり、受験のために青春時代を犠牲にする必要はない、ということでしょう。
私の感覚では、逆に言えば、高校1年生から東京大学理科3類(医学部)を本気で目指せば合格できる、という見方もできます。通常は高校2年生の終わり頃から受験体制に入りますが、高校1年生から本気で受験勉強すれば、東京大学理科3類にも入れると思います。実際私の知人の娘さんも理3にトップクラスで合格しましたが、高校1年時に理3に入る、と決めていたそうです。
私は田舎の高校だったので、東大医学部なんて想像さえもしていませんでした(笑
実際には、2浪したら東大理3も入れていたかも知れなかったのですが、自分ではそれすら気づいていませんでした。数学でZ会で115点をコンスタントに取れていたので、あと1年本気で頑張れば私も理3に入ってもおかしくなかったと随分あとになってから思いました。
ともかく、高校生も受験ばかりにとらわれず、思いっきり高校生活を楽しんでいいと思います(高1から理3を目指す人は別)。ただし、受験勉強を始めたら、1日15時間でも勉強する、という位の覚悟も持っていた方がよいです。
劣等生にも可能性はありますが、甘い気持ちでは合格は難しいでしょう。
小林さやかさんももう1年1日15時間勉強に頑張れば、東大も合格できていた可能性もないとは言えないでしょう。ただ、急に成績が伸びなくなる生徒さんもいるので絶対合格できるとは言えませんが。それに科目数も違うし、浪人しても成績や偏差値が伸びない人も大勢いますから、要は本人次第ということでしょう。
慶応大学人間社会科学部に合格した小林さやかさんは、湘南藤沢キャンパス(SFC)なのに、なぜか、藤沢から1時間以上かかる下北沢に住んだそうです。東京のいろんな人を見たかったからのようです。下北沢は私も東大駒場時代はいつも通っていた駅でなじみがありますが、飲み屋も多い駅です。
小林さやかさんが下北沢でアルバイトを探して街を歩いていて、たまたま居酒屋前のアルバイト求人の張り紙を見ていたところ、スキンヘッドの店長が出てきて、履歴書を持ってきたら明日から雇ってあげるよ、と言われ、そのとおりにして、翌日から採用されます。
最初は皿洗いで、その店がすごく繁盛していたこともあり、皿洗いのスピードが遅いとお客様に迷惑をかけるので、大変だったそうです。それで1日目で止めようとしたのですが、1週間だけ頑張ったら商売の面白さを教えてあげる、と店長が言うので、じゃあ1週間だけやって辞めよう、と思って続けて、1週間経ったらまた1週間だけ、と言われ、その連続で結局4年間その店でアルバイトをし続けたそうです。
そして卒業後ウエディングプランナーを3年やったのち、そのスキンヘッドの店長と結婚し、2015年からは独立して、講演や企業研修をやっているそうです。
話を聞いて思ったのは、お母さんのあーちゃんが、子供達にワクワクすることをやらせる、という一貫した姿勢が印象に残りました。ワクワクすることを仕事にできればいいですが、普通の家庭では、仕事や人生はそんなに甘いものではない、といって平凡な道に引き戻そうとするのではないでしょうか?いわゆるドリームキラーというヤツです。
憂鬱(ゆううつ)じゃなければ仕事じゃない、というサイバーエージェントの藤田晋社長の本もありますし。仕事はワクワクしながらやってうまくいくほど甘いものではない、という見方もあります。
そんな中で、小林さやかさんの母親のあーちゃんは、子供がワクワクすることをやらせるために、パートに出て個別指導塾の学費を稼ぎ、次女はニュージーランドの高校に行かせるなど、ちょっと普通の家庭では考えられないほど子供を甘やかせるというか、好きなようにやらせていました。
それがビリから慶応大学合格につながったのであれば、無理やり勉強させている親で慶応大学にも合格させられない親は反省すべきかも知れません。
私の教材もワクワクしながら勉強できるようになるので、ある意味、小林さやかさんの勉強法と共通点があります。ただ、私のモチベーションを上げる方法は、憎しみではなく、純粋なワクワクのエネルギーで勉強できるので、ある意味、ビリギャルよりもクリーンなエネルギーと言えるでしょう。
小林さやかさんは、今後、ママキャンパスとかいうママイベントもやるようです。とっても暖かい雰囲気で評判もよいそうなので、お母さん方は一度行ってみてもいいかも知れません。ギスギスした雰囲気の家庭から東京大学に入るのと、暖かい家庭で笑いながら楽しんで勉強して慶応大学に入る、というのだと、どちらが人生全体として幸せになるのかな?と思ったりもしました。
でも、暖かい家庭で、将来の地位、名誉、お金等とは無関係に、単純に楽しみながら勉強して東京大学やハーバード大学に入り、ワクワクする人生を思いっきり楽しめるとしたら、それもいい気もします。その両方を可能にできるのが私の教材です。
いずれにしても、受験生が高校時代、二度とない青春時代を思う存分楽しみながら第一志望の大学に合格して人生を楽しんで欲しいと願っています。高校時代(青春)を犠牲にしなくても、東京大学には十分合格できる方法があるのですから。