山水康平助教(京都大学iPS細胞研究所)が論文ねつ造疑惑

ノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長の部下である、山水康平特定拠点助教が、自身の論文のデータを改ざんしたとして、論文を取り下げました。

昨年9月から調査委員会を設置して調査したところ、再現性がなく、データも数値が1桁多くなるように改ざんしていたそうです。

iPS細胞研究所では3か月に1度研究者の実験ノートをチェックしていたそうで、実験ノートの提出率は86%程度だったようです。

このような論文ねつ造は昔からあり、東京大学でもねつ造で教授をクビになり、どこの大学や研究所も雇ってくれず、研究者を辞めざるを得なくなった元教授もいます。昨年も東大分子細胞生物学研究所の論文に不正があったとの判断になっていました。

そうした不正をすれば研究者を辞めざるを得なくなるのは当人もわかっているはずですが、なぜそんな不正が起こるのでしょうか?

1つには、研究者は、publish or perishと言われています。つまり、論文を出す(publish)か、さもなければ消える(perish)と言われるように、論文を出さないとクビになります。特に米国の研究所では年1報は論文を出さないとクビになる研究室が普通にあるそうです。

しかしながら、iPS細胞を用いる研究は最先端ですから、難しいテーマも多く、山水康平助教もうまくデータが出なかったのでしょう。

山中伸弥教授も奈良先端科学技術大学院大学に助教授として就職して、iPS細胞の研究を始めたときは3~4年位データが出なかったそうです。それでも米国のグラッドストーン研究所の仕事の続きの論文が出たので何とかやって行けたようです。

しかし、もし、グラッドストーン研究所の論文がなかったら米国ならクビになっていてもおかしくありません。日本では、助教授になれば、任期制ではないので、論文が出なくてもクビになることはありませんから、データが出ないおそれのある研究をしても大丈夫ですが、助教の場合はデータを出して論文を書かない限り、研究者としては終わりですから、中にはねつ造する人も出てくるおそれがあります。

今回はiPS細胞研究所のチェック機能をすり抜けてねつ造論文が投稿されてしまったわけで、そういう意味では、かなり厳しくチェックしてもねつ造を見破るのは難しいことを示しています。

今回は、外部から情報があったということで、おそらく、再現性を確かめる実験をしてもうまく行かなかったのでしょう。研究の場合は、面白い論文が出れば、それを追試して、そのさらに改善版を作ったり、そのやり方を使って他の研究に役立てようとします。

しかし、何度やってもできなければ、論文の著者に問い合わせが来ますし、時には、その研究室に来て直接教えてくれ、と頼まれる場合もあります。

通常であれば、快くそうした研究者を受け入れるのですが、うまく行っていない場合は逃げ回るでしょうから、最後にはばれてしまいます。

おそらく今回も研究所内ではうまくねつ造データでプレゼンしてすり抜けたのでしょうが、外部の研究者が再現できないことを確信してねつ造を疑ったのではないかと思います。

研究者生命にかかわるようなことをする助教は厳しく罰せられるべきで、おそらくもう研究者としてやっていくことは難しいでしょう。

研究者であれば、非常に難しい研究をする場合でも、論文を出せるような確実な研究も並行してやっておくべきです。そうすればホームランのような論文がでなくても、ヒットの論文でクビになることを防止できます。

山中伸弥教授のような立派な研究者のところの所員がねつ造をするというのは本当に情けないです。しかし、立派な人の下でも、人数が増えればこんなことも起きるのでしょう。

採用する際に、ねつ造したら、切腹、という位の念書を書かせてもいいかも知れません。研究者としてねつ造は自殺行為と同じですから。

科学を愛する者として山水康平助教には非常に憤りを感じています。STAP細胞の小保方晴子以来の事件です。小保方晴子よりは規模としては小さいですが、ねつ造であることは変わりありません。同じ穴のムジナと言っていいでしょう。江戸時代なら、さしずめ獄門、さらし首といったところでしょう。

今後はねつ造した研究者には、莫大な損害賠償金を課す契約をすることも考慮してもよいと思われます。